塗料とVOC
塗料とVOC
VOC は揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称で塗料が硬化していく過程で発生します。溶剤の種類により、VOC放散量が異なります。 各塗料の種類ごとの溶剤量は次のとおりです。
エマルション塗料
この系統の塗料は、溶剤のほとんどが水で、一分添加剤として高沸点溶剤を使用しているのみで最も溶剤含有量が少ない。最近は、ゼロに近い塗料も出てきている。
水溶性樹脂系塗料
この系統の塗料は、水で希釈して塗装する塗料ですが、既に塗料中に水と相溶する溶剤が入っているので、エマルション系塗料よりはVOCは多く含まれている。
非水分産経塗料(NAD塗料)
この系統の塗料は、溶剤に樹脂を分散させたと塗料で、比較的高沸点の溶剤を使用しており、一般の溶剤型塗料に比べると、トルエン、キシレン、含有率が少ない塗料です。
油性系酸化重合塗料
この系統の塗料は、NAD塗料と同じ溶剤を使用しています。塗膜を形成する過程で塗料中の樹脂が空気中の酸素と反応しますが、その時の副生成物としてホルムアルデヒドをはじめ数種のVOCを放散します。
VOCの経時放散
塗装後、塗膜が出来るまでの溶剤の蒸発によりVOCの放散の速度が異なります。もちろん、溶剤の割合が少ない塗料は、蒸発するVOC自身も少なくなります。 左図が、各塗料の種別ごとのVOC放散のグラフです。
塗料の違い、気象条件、気温、塗装下地、風向きによっても影響を受けます。放散の速度が遅い原因の一つに下地材の吸収率が高い場合があります。一旦吸収してから放散するので日数が掛かるためです。